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米国での利益相反の前提は、不動産の売手と買手、または不動産所有者とテナント、発行体と投資家などは常に利害が対立しているといった認識になります。米国の場合では、機関投資家やテナントなどの当事者によって、この点が特に強調されているようです。米国の不動産投信の実状は未上場不動産の会社の上場であって、当該不動産会社自体の運営や管理が多くあるのです。
その反面、日本の不動産投信は大手の不動産会社による外部運営が想定され、利益相反が生じやすくなっています。つまり日本では不動産投信の多くは、既存の不動産会社が投資顧問を設立し、親会社である不動産会社から不動産を購入して運用することを前提としています。そしてその不動産の管理や運営は親会社か、その関連会社に委託する事を前提にしています。
現在、日本の不動産投信で懸念される利益相反というのは、不動産投信の運用を行う不動産投資顧問の会社のレベルで親会社の介入が起きないか、そして対象資産の管理や運営を受託する業者のレベルで不動産投信よりも自らの親会社などを優先するのではないかなどの懸念です。つまり投資家たちは、投資顧問が親会社から購入した価額は適正か親会社などに業者としての能力がないとき排除できるか、優良テナントに対して業者は親会社と不動産投信のどちらを優先するのか?などの疑念を持つ事になります。
Last update:2023/5/22